「リンゲルマン効果」の意味や語源とは?綱引きの実験や具体例、対策、論文も解説

「リンゲルマン効果」の意味や語源とは?綱引きの実験や具体例、対策、論文も解説

「リンゲルマン効果」は、無意識に働く心理学用語です。まず結論から言ってしまうと、「リンゲルマン効果」とは、集団で作業するときに一人あたりの生産性が低下するという心理効果を言います。

学校や会社などの組織で実績を残した経験は誰もがあると思います。しかし、その中で必ず1人はサボってる方や話にしっかり参加してこない方がいませんでしたか?

また、集団になると、「誰かがやってくれる」というように思ったりしませんでしたか?これが「リンゲルマン効果」が働いている例です。

この「リンゲルマン効果」は、「社会的手抜き」や「フリーライダー(ただのり現象)」、「社会的怠惰」とも呼ばれています。

この記事では、「リンゲルマン効果」の意味や語源などを解説しながら、綱引きを使った実験、類語、英語表現、具体例、対策方法、論文などを紹介していきます。

一読することで「リンゲルマン効果」を対策し、組織の士気を上げることができるでしょう!

「リンゲルマン効果」の意味とは?

まず、「リンゲルマン効果」の意味についてご紹介します!

リンゲルマン効果

意味:集団で作業するときに一人あたりの生産性が低下するという心理効果。

「リンゲルマン効果」の意味は、「集団で作業するときに一人あたりの生産性が低下する」

「リンゲルマン効果」とは、集団で作業するときに一人あたりの生産性が低下するという心理効果を言います。

ダブルチェックも例外ではありません。

このリンゲルマン効果が発生してしまう原因は以下の4つがあります。

  1. 組織で、自分だけが評価される可能性が低い環境であること。
  2. 優秀な組織の中で、自分の努力量に関わらず報酬が変わらないなど、努力をしても意味がない環境。
  3. あまり努力をしない組織では、自分だけ努力するのは馬鹿らしいという心理から、集団の努力水準に同調する。
  4. 他者により緊張感が低下したり、注意力が散漫になるなど自己意識の低下がパフォーマンスに影響を与えるメカニズムが働く。

上記の4つによってリンゲルマン効果が働いてしまいます。

働きアリの法則と相互作用を起こすので、働かない人は「怠惰になる」という事象も生じてしまうことも覚えておきましょう!

とくに、従業員が多い日本企業を中心に生産性向上の阻害要因としてリンゲルマン効果が指摘されているので、この記事で知っておきましょうね!

意味のまとめ
  • 「リンゲルマン効果」の意味は、集団で作業するときに一人あたりの生産性が低下するという心理効果。

「リンゲルマン効果」の語源と由来とは?

続いて、「リンゲルマン効果」の由来を紹介します。

「リンゲルマン効果」の由来は、フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンから、「リンゲルマン効果」と呼ばれるようになりました。

語源と由来のまとめ
  • 「リンゲルマン効果」の由来は、フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマン。

「リンゲルマン効果」の綱引きを使った実験とは?

「リンゲルマン効果」は以下のような実験があります。

「リンゲルマン効果」の実験概要

「リンゲルマン効果」の実験は、フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンが行いました。

「リンゲルマン効果」の実験内容

この実験は、綱引きでの牽引力を測定するときの。集団作業時の一人あたりのパフォーマンスを数値化したものです。

実験の結果、1人で行うときの力量を「100%」とした場合、

  • 2人の場合は「93%」
  • 3人では「85%」
  • 4人では「77%」
  • 5人では「70%」
  • 6人では「63%」
  • 7人では「56%
  • 8人では「49%」

という力量の割合になりました。

つまり、1人あたりの力の量は低下したのです。

「リンゲルマン効果」の実験結果

この実験から、「リンゲルマン効果」により、自分以外に作業する者がいた場合(個人ではなく組織になった場合)、1人当たりの作業効率が低下するとわかりました。

また、集団の人数が増えれば増えるほど1人当りの作業効率が低下することもわかりました。

つまり、1つの作業に人数を複数投下しても作業効率が良くなるとは限らないということがわかったのです。

ただ、この「リンゲルマン効果」は全員に当てはまるものではないことを覚えておきましょう!

実験のまとめ
  • 綱引きを使った実験の結果、1つの作業に人数を複数投下しても作業効率が良くなるとは限らないということが証明された。

「リンゲルマン効果」の類語とは?

「リンゲルマン効果」には別の表現があるので覚えておきましょう!

「リンゲルマン効果」の言い換え表現には以下の3つがあります。

  • フリーライダー(ただ乗り)現象
  • 社会的怠惰
  • 社会的手抜き

社会手抜きの意味をWikipediaより引用したので以下を参考に一緒に覚えておきましょう!

「リンゲルマン効果」の類語は「社会的手抜き」

社会的手抜き(しゃかいてきてぬき)は、集団で共同作業を行う時に一人当たりの課題遂行量が人数の増加に伴って低下する現象。リンゲルマン効果、フリーライダー(ただ乗り)現象、社会的怠惰とも呼ばれる。

引用元:Wikipedia

類語のまとめ
  • 「リンゲルマン効果」の別の言い方で「フリーライダー(ただ乗り)現象」「社会的怠惰」「社会的手抜き」の3つがある。
  • 「社会的手抜き」の意味は、「団で共同作業を行う時に一人当たりの課題遂行量が人数の増加に伴って低下する現象」

「リンゲルマン効果」と少し違う意味を持つ心理学

リンゲルマン効果と少しだけ似ている意味を持つ心理学も存在します。

それは「傍観者効果」です。

「リンゲルマン効果」と少し違う意味の「傍観者効果」

「傍観者効果」とは、誰かしなければいけない作業であっても、率先して行わないことを意味します。

この原因は、他の傍観者と責任を分散することで、もし失敗したときの反感を上手く避けたりすることができるからです。

  • リンゲルマン効果は集団でいるときに手を抜く心理
  • 傍観者効果は事件への関与を避けてしまう心理

上記の2つの心理学の意味の違いをしっかりと理解しておきましょうね!

「リンゲルマン効果」の英語表現とは?

次に、「リンゲルマン効果」の英語表現を解説します。

「リンゲルマン効果」は英語で「Ringelman Effect」

「リンゲルマン効果」は英語表記で「Ringelman Effect」と表記します。

「リンゲルマン効果」はこの心理効果を実証したフランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンの「Ringelman」と効果の意味を持つ「effect」から由来されています。

以下では、「Ringelman effect」を使った英語例文をご紹介します。

<例文>

  • The Ringelman effect is one of the best known phenomena in cognitive psychology.(リンゲルマン効果は、認知心理学で最も知られている現象の一つです。)
英語表現のまとめ
  • 「リンゲルマン効果」は英語で「Ringelman Effect」

「リンゲルマン効果」の具体例とは?

続いて、「リンゲルマン効果」の事例を紹介していきます。

「リンゲルマン効果」という心理用語は、具体的にどの場面で利用されているのかは以下の通りです。

リンゲルマン効果は無意識使われている

「リンゲルマン効果」は無意識に使われています。

リンゲルマン効果は、「組織の中の人間が意識的に手抜きをしているわけではない」ということを理解しておきましょうね!

リンゲルマン効果は全員に効果があるわけではない

個人の能力が高ければ、例外です。

つまり、リンゲルマン効果は全員が優秀な集団であれば、効果が働くことはないということです。

ポイント
  • 「リンゲルマン効果」は無意識に働く。
  • 「リンゲルマン効果」は全員が優秀な集団であれば、効果が働くことはない。

「リンゲルマン効果」の対策方法とは?

「リンゲルマン効果」を対策する方法をご紹介します。

集団になると手を抜いてしまう方は、自分のことを評価してくれたり励ましてくれる存在が周りにいる環境であることが望ましいです。

また、その評価を適切に判断してくれるシステムであることが望ましいと言えるでしょう。

責任を分散させない

また集団になったときに「責任」を分散させないことも1つのポイントになります。

集団になると作業効率が悪くなるのであれば、「それぞれが責任者である」という認識を持たせると良いです。

以下のような意識を持たせると「リンゲルマン効果」の対策になるので参考にしてくださいね!

  • 「自分なんて…」という考えを捨てさせ、「自分がいなければだめなんだ」という意識を持たせる
  • 「周りがなんとかするさ」という考えを捨てさせ、「自分がやらなければならないんだ」という意識を持たせる

作業の役割の責任者が1つの集団1人だけであれば、リンゲルマン効果により、その人のもてる100%の能力を発揮するできるでしょう!

注意
さまざまな対策方法を施してもうまくいかなかった方は、ダブルチェックを入れてみるのも良いでしょう!
対策方法のまとめ
  • 集団になると作業効率が悪くなるのであれば、「それぞれが責任者である」という認識を持たせることで、リンゲルマン効果を対策することができる。

「リンゲルマン効果」の論文とは?

ここでは「リンゲルマン効果」の論文をまとめておきます。

ぜひ参考にしてくださいね!

ダブルチェックの有効性を再考する

著者情報

名前:吉川 肇子
所属:非掲載
収録刊行物:心理学辞典

◆この論文をチェックする

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リンゲルマン現象と社会的手抜き

著者情報

名前:小窪 輝吉
所属:鹿児島経済大学
収録刊行物:鹿児島経済大学社会学部論集

◆この論文をチェックする

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医療安全へのヒューマンファクターズアプローチ

著者情報

名前:河野龍太郎
所属:自治医科大学医学部 メディカルシミュレーションセンター
収録刊行物:医療安全管理研修

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ダブルチェックの有効性を再考する

著者情報

名前:松村 由美
所属:京都大学医学部附属病院
収録刊行物:厚生労働省四国厚生支局

◆この論文をチェックする

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まとめ|「リンゲルマン効果」は対策することで作業効率を高めることができる心理学。

さいごに、この記事でお伝えしたことをまとめると以下の通りです。

まとめ
  • 「リンゲルマン効果」とは、集団で作業するときに一人あたりの生産性が低下するという心理効果
  • 「リンゲルマン効果」の英語表記で”Ringelman effect”と表記
  • 「リンゲルマン効果」の対策方法は、責任を分散させないこと
  • 「リンゲルマン効果」の論文は2つ

「リンゲルマン効果」とは、集団で作業すると個人の生産性が低下してしまう心理効果です。

人間は集団で何か作業する時人が増えれば増えるほど、1人当たりの貢献度や作業効率が低くなります

もしあなたが多くの人をまとめる立場(リーダー)であれば、すぐに改善策を考え、どのように全体の士気をあげていくか工夫が必要になってきますね!

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